ご飯は私を裏切らない
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  • 完結

ご飯は私を裏切らない

少年・青年マンガ
704円 (税込)
352円 (税込) 10月18日まで

1pt

29歳、中卒、恋人いない歴イコール年齢。バイト以外の職歴もなく、短期バイトを転々とする日々。ぐるぐると思索に耽るけど、ご飯を食べると幸せになれる。奇才の新鋭・heisokuが贈るリアル労働グルメ物語!

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ご飯は私を裏切らない のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    この本の女子の主人公。29歳、中卒、恋人いない歴イコール年齢。友人なし。資格なし。バイト以外の職歴もなく、短期バイトを転々とする日々。頼れる人は誰もない。何もない人生。そして、この女主人公は、名前さえもない。あるのは、バイトの作業だけ。

    主人公の女子は、イクラが好きだ。
    イクラは、一粒一粒が生まれなかった命そのもの。その命をまるごと食べることは、感慨深いと思う。
    その生命を自分のものにしている感じがするのだ。
    味覚を刺激し、感受性を刺激し、生理現象を起こすことで、絶望的な思考を止める。それがイクラを食べることだ。最高の料理は、イクラローストビーフ丼。ふむ。そんなのがあるのか。
    いくらより、なんとなく、シラスの方が、たくさんの命を食べる感がある。今日も、シラス大根メシを食べた。

    主人公の女子は様々なバイトをしている。居酒屋に来ているお客に話しかけて、タバコの購入を薦めるというプロモーションのバイトで、声かけ数と販売数のノルマがある。主人公の女子は、過酷なバイトだが、そのようなバイトを好んでいる。3つのバイトを掛け持つ。そして、クビにされる。
    化粧品の通販会社の商品梱包と発送の仕事。誰にでもできる簡単な仕事で、クビになった。
    自転車集積所で、撤去自転車返還受付の仕事。チョコレートの試食販売。深夜の倉庫勤務。コンタクトの割引券配布。そういう仕事をしながら、私はロボットだと自分に言い聞かせる。

    魚卵にまつわる話。モンガラカワハギ科の魚類のゴマモンガラのメスは一度に10万もの卵を産むが、生き残るのは数匹。つまり、10万匹は死んでしまうのだ。イクラを食べていると、生き物は小さく生まれて、小さく死んでいくもので、この世で何を成せなくても別にいいのではないかと思ってしまう。バイトして、働いて、収入を得て、ご飯を食べて、身体的な維持はできているが、働いて役に立っているという実感は全くない。人間に必要なものは、ご飯だ。ご飯だけは、私を裏切らない。

    不思議と生物に対する造詣が深い著者だ。
    トナカイ、アメリカギンヤンマ、生物連鎖、食物連鎖。ヨトウ虫を見つけ、自宅でヨトウ虫を飼うことに。

    ニューコンミートって、何か知らなかった。牛だけで作っているのがコンビーフ。牛肉と牛肉以外の肉、馬肉などを使ったものは、初めはニューコンビーフと言っていたが、牛肉以外が入っているので、ビーフが使えず、ニューコンミートというらしい。牛肉が55%以上の割合で、2020年からそう呼ぶようになった。

    この本の閉塞感。底辺の若者の悲哀とやるせなさ。自分の居場所がない、存在価値を認めることができない。そして、このまま歳をとっていくことの恐怖感。いい出会いも期待できない。この社会構造の歪みと闇の中に放り出された女主人公。どこにいくのか?田口ランディではないが、とほほなのだ。

    そして、この本を読みながら、とほほで済まされないなと思った。こういう若者が増えているような気がする。主人公の女子に希望があるのは、イクラつまり命を丸ごと食べることで生きていこうとしていることだ。明日もご飯を食べられるという確信が存在している。それは、クビにされようともバイトはいくらでもあるのだ。そのバイトをし続けることで、食べるという行為は、私を裏切らないのだ。

    私は、ロボットのようなものであると暗示をかけて、立ち向かっている。裏切られないものが食べるという生存本能を見つけている。少しでも、マシな今日を懸命に生きる。クビになっても、ひきこまらない積極性がある。世間一般で言う「キャリアアップ」や「素敵な出会い」といった上向きのキラキラしたものは望んでいない。
    彼女は今日もバイトで働き、自分の胃袋を満たし、しぶとく、泥臭く生き延びていく。その「圧倒的な生の肯定」こそが、この物語が閉塞感のなかに放つ、希望の光なのだ。

    0
    2026年06月11日

    Posted by ブクログ

    人の内心の独白と妄想を聞くのが大好きなのでめっちゃ良かった
    詳しいから虫系の仕事とか向いてそうだ
    規模がデカく考えられるのは普通にすごい
    そして疲れて帰ってきたあとに結構調理工程多い料理作れるのもすごい
    雰囲気といい、そのリアルな日常感が好きだ

    0
    2022年01月24日

    Posted by ブクログ

    端的に言うと、重くて、仄暗くて、ザラついているストーリー
    好きか嫌いか、で言ったら、嫌いではない、と言えるにしろ、他の食系漫画にある、読み手を幸せにする力があるか、は微妙
    言い方は悪いかもしれないが、作者の精神状態が心配になる
    ストーリーもそうだが、絵柄にも酷い刃毀れによって、逆に、刺した相手に激痛を与える包丁のような印象を受けた
    ただ、こうやって、一冊の漫画として世に出る以上は、十分な支持を集めているってことだ
    きっと、この内容と主人公のキャラクター性で、明日も頑張ろう、と一線を越えるのを堪えた人がいるのだろう
    それならば、この『ご飯は私を裏切らない』は、漫画読みを裏切っていない
    いるのか、どうかは判らないが、あえて、漫画を読んで欝な気分に浸りたい人がいるのならば、この単行本を開いてみるべき。多分、望んでいたモノが得られる。その後は、自己責任なので、私は関与しない
    何様目線だ、と言われそうだが、一つ、高く評価できる点は、安易なハッピーエンドに着地していないトコだ。最初から最後まで、この主人公は、幸せになれず、かと言って、最悪の結末も迎えず、程よい不遇な日常のままで終えている
    悪人でないのは断言できるけど、少なくとも、私は関わりたくないタイプだ。まぁ、あっちも私みたいな人間には接近しないだろう、ヤバい、と感じて

    この台詞を引用に選んだのは、つい、苦笑しちゃうほど、世の真実を突いているな、と感じ取れたので
    身も蓋もないのは確かだが、絶対にそうではない、と否定できないだけの説得力も有している
    愛じゃ、心は一時、満たされるだろうが、腹は膨れず、体は動かなくなってしまう
    人間、「食べたい」って欲を失わず、美味しいモノを食べた時に、ちょっとの幸せを感じられるなら、まだ大丈夫だ
    この女性だって、何だかんだで、生きているんだから
    「人間は、生きるために必要なものが多くて、もっと少ないと助かりますな。生物が生存するための必要最低限の要素は『二酸化炭素』と『水素』。とはいえ、これで生きていけるのは、バクテリアとかだろう。人間は、死んでしまう!人間にとって、本当に必要なもの、それは・・・・・・愛!・・・いや、ご飯だと思う」(by主人公)

    0
    2020年08月30日

    Posted by ブクログ

    生き延びるグルメ
     生きるか死ぬかの瀬戸際にあるといっても過言ではないのではないか? 《生き物の実態は死に物じゃないか》って、そんなことなかなかいへないよ。

     中卒で、さまざまな派遣バイトをこなしながら生きる29歳女性のメシは、過剰なる自意識によって、一種哲学的な生きる考察まで踏みこむ。われわれはそれをあっけにとられて、しかしズバリ的を射たモノローグを観察するだけだ。

     この作家は他のマンガでも定時制高校を舞台にしたり。底は底でも、底なりのハッピーやグレイにスポットライトを当てるので、残酷さみたいなものはまったくない。そこには肯定も否定もない。イデオロギーがないのがいい。

    0
    2024年11月25日

    購入済み

    他のグルメマンガとは一線を画す、独特な雰囲気のグルメマンガ。食欲が湧かないような、でも主人公が食べているものを買いに行きたくなるような、異色の漫画でした。

    #エモい #シュール

    0
    2021年06月01日

    Posted by ブクログ

    中卒(通っていたのは1年の春先だけ)、アラサー、彼氏・友達なし、バイト以外の職歴なし(そのバイトもすぐ馘首になる)の主人公の日々と食を描いた連作。底辺に生きる主人公だけど、自身の不安を思考し分析するだけの知性と、主に生物に対する雑学的な知識を持ち合わせているのはファンタジーなんだろうか。不登校になった原因や家族などが語られることはなく、救いのない日常を食の喜びとふわふわした雰囲気がオブラートのように包み込んで微笑ましくさえある。ゆっくり窒息死するしかないような生ぬるい閉塞感。古谷実の作品とちょっと似てる?

    0
    2020年08月09日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    29歳、中卒、恋人いない歴イコール年齢と、主人公のプロフィールだけ見て陰鬱な内容なのかと思ってましたが、主人公が基本前向きなので気が滅入ることもなく読めました。性別を反転したらそんなことはなくなってしまいそうですが。この手の作品にしては珍しいほどの前向きさ(死にたいとか言わない)なので応援したくなるのもよかったです。
    グルメ漫画かといわれると相当あやしく、おいしそうなものや食べてみたいと思えるものが出来合い品以外見当たらないのはどうなんだろう。冷おにぎりのおいしさは理解できましたが、わざわざ冷やして作るのか……。でも、ご飯を食べているときは幸せそうなので、まあ。
    何回読み直してもそのたびに新しい発見だったりが見つかるような気がして、ずっと飽きることがなさそうです。調べたら完結しているみたいなので続きは期待できなさそうで残念ですが、いつか続きが読めたら嬉しいです。

    0
    2021年05月30日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    中卒で短期バイトを転々とする主人公が、ご飯の時だけはイキイキ出来るお話。
    字面が多いので苦手な人は避けても良いと思います。
    別に自分が凄く恵まれているわけではないけど、個人的にはどうでもいいし、どうにもならない事を考えすぎてて面白いです。

    0
    2025年11月25日

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